演劇
エチュード(即興劇)のお題の例|2人・3人・4人別14本と作り方
エチュード(即興劇・インプロ)のお題の例を2人・3人・4人別に14本。即興劇のお題アプリの1,000本(2026年10月の版)を数え、場所・制約・役の秘密・種明かしの組み方を示しました。回しにくいお題の直し方、劇団や演劇部の稽古での出し方と振り返りも。
エチュード(即興劇・インプロ)のお題を、2人・3人・4人別に14本載せます。どれも、全員に見せる「場所」「関係」「状況」「制約」と、役ごとに本人だけが知る「目的」「秘密」でできていて、紙に書き写せば劇団や演劇部の稽古でそのまま使えます。お題は、このすぐ下に2人・3人・4人の順。
その後ろの「お題の作り方」では、私が作った即興劇のお題アプリに、2026年10月の時点(バージョン1.0.3)で入っていた1,000本を項目ごとに数え、どう組んであるかを示しました。この記事に書くアプリの数字・画面・動きは、すべてこの版のものです。版で変わる数字は、末尾の「アプリの版で変わる数字」の欄にまとめています。
2人で演じるエチュードのお題(5本)
紙に書き写すときは、場所・関係・状況・制約の4行を板書するか読み上げて全員に、「〇〇の目的」「〇〇の秘密」は役ごとの紙にして本人だけに渡します。「種明かし」と「振り返りの問い」の行は進行役が持ち、演じ終えてから使います(くわしくは後ろの「稽古での出し方と回し方」)。
初めての人どうしなら、まず2人から。最初の1回は4行だけで始め、目的と秘密は2回目から足してもかまいません。
コインランドリーの最後の1台(日常)
- 場所: 夜11時のコインランドリー
- 関係: 同じアパートの住人。顔は知っているが、話したことはない
- 状況: 乾燥機が1台だけ空いた
- 制約: 乾燥機は一度回すと40分止まらない
- A の目的: 明日の面接で着るシャツを、今夜中に乾かしたい
- A の秘密: 先週、B の洗濯物を間違えて持ち帰り、返しそびれている
- B の目的: 自分の洗濯物を先に乾かしたい
- B の秘密: 来週、引っ越すことが決まっている
結婚30年の記念写真(コメディ)
- 場所: 商店街の写真館の撮影スタジオ。30年前、2人が結婚式の写真を撮ったのと同じ店
- 関係: 結婚30年の夫婦
- 状況: 撮影の直前。どんなポーズで撮るかが決まっていない
- 制約: カメラと照明はもう椅子に合わせてあり、2人とも立てない
- A の目的: 結婚式の写真と同じポーズで撮りたい
- A の秘密: その結婚式の写真を、引っ越しのときになくしている
- B の目的: とにかく早く撮り終えたい
- B の秘密: 写真館の人に頼んで、30年前のネガから結婚式の写真を焼き直してもらった。撮影のあとに渡すつもり
- 種明かし: B のサプライズは、写真館に残っていた当時のネガから焼き直した結婚式の写真
法事の翌朝の台所(シリアス)
- 場所: 実家の台所。母の一周忌の翌朝で、弟の帰りの新幹線まであと1時間
- 関係: 姉と弟
- 状況: 食器を片づけていたら、母の家計簿が出てきた
- 制約: 隣の仏間に叔母がいて、話は筒抜け。叔母は母が亡くなってから、家の話になると泣き出す。2人とも「売る」「お金」とは口にしない
- 姉の目的: 実家を売る話を、弟が帰る前にまとめたい
- 姉の秘密: 母の通院費のために借りたお金があり、家を売って返すしかないと考えている
- 弟の目的: 家を残したい
- 弟の秘密: 先月仕事を辞めていて、この家に住むつもりでいる
- 振り返りの問い: 「売る」と言えないあいだ、2人は家のことを何と言い換えていたか
返却ポストの1冊(ミステリー)
- 場所: 閉館15分前の、小さな図書館の返却カウンター
- 関係: 司書と、毎日来る高校生
- 状況: 貸出の記録にない本が1冊、返却ポストに入っていた
- 制約: 司書は、記録で確かめたことと推測とを分けて話す(利用者を疑わない、という館の決まり)
- 司書の目的: その本が誰のものかを突き止めたい
- 司書の秘密: 同じ本を、学生のころこの図書館で借りたことがある
- 高校生の目的: 本に挟まっているメモを、気づかれずに取り戻したい
- 高校生の秘密: 本を返却ポストに入れたのは自分
夜明けに閉じる橋(ファンタジー)
- 場所: 2つの国のあいだに架かる橋の関所
- 関係: 関所の番人と、通行証を持たない旅人
- 状況: 夜明けとともに橋が閉じ、次に開くのは1年後
- 制約: 番人は、夜明けまで持ち場を離れてはならない決まり
- 番人の目的: 規則どおり旅人を引き返させたい
- 番人の秘密: 若いころ、通行証なしでこの橋を渡った
- 旅人の目的: 預かった箱を、夜明け前に向こう岸の人へ届けたい
- 旅人の秘密: 箱を預けた人に「番人にこれを見せれば通してくれる」と言われたが、中身は知らない
3人で演じるお題(5本)
目的を3人ともばらばらにしておくと、2人が組んで1人を囲む形が、途中で何度も入れ替わります。
吹雪の山小屋(ミステリー)
- 場所: 吹雪で閉じこめられた山小屋の食堂
- 関係: 小屋の管理人と、たまたま居合わせた登山客2人(互いに初対面)
- 状況: 無線機の部品が1つなくなっていて、外と連絡が取れない
- 制約: 火があるのは食堂のストーブだけ。寒さで、全員食堂から出られない
- 管理人の目的: 部品を見つけて、明日の朝までに無線を直したい
- 管理人の秘密: 今朝、登山客が着く前に無線機を点検し、部品は戻したはず。小屋の予備の部品は、先月ほかの小屋に貸してしまった
- 登山客1の目的: できるだけ早く下山の連絡をつけたい
- 登山客1の秘密: 家族に知らせずに、一人で山に来ている
- 登山客2の目的: 自分の金属片が部品なのかどうかを、疑われずに確かめたい
- 登山客2の秘密: 着いたときに床で拾った金属片が、ポケットにある。部品かもしれないと思うが、言い出せない
- 種明かし: 誰も部品を盗っていない。登山客が着く前に管理人が無線機を点検し、外した部品を戻したつもりで棚に置き忘れた。部品は床に落ち、登山客2が拾った金属片がそれだった
- 振り返りの問い: 食堂から出られないことで、部品の探し方はどう変わったか
祭りの前日の集会所(日常)
- 場所: 町内会の集会所。夏祭りの前日の夕方
- 関係: 町内会の会長、毎年たこ焼きの屋台を出している人、今年越してきたばかりの人
- 状況: 屋台を出す場所の割り当てが、1つ足りないとわかった
- 制約: 割り当て表は、今日の18時に集会所の掲示板へ貼り出す決まり
- 会長の目的: 誰も怒らせずに18時までに決めたい
- 会長の秘密: 足りない1枠は、娘の屋台のために、表に載せずに空けてある
- 屋台の人の目的: いつもの角の場所を守りたい
- 屋台の人の秘密: その角の場所は、去年会長がこっそり回してくれたもの
- 越してきた人の目的: 町内の人と顔見知りになりたい
- 越してきた人の秘密: 屋台を出したいわけではない。申し込み用紙の欄を書き間違えただけ
竜の卵の引き取り(ファンタジー)
- 場所: 山あいの村の、竜の卵を預かる孵卵所
- 関係: 孵卵所の師匠、見習い、卵を引き取りに来た隣村の使い
- 状況: 引き渡しの直前、卵の中から殻の割れる音がした。孵るのはひと月先のはずだった
- 制約: 卵を包んだ布は、隣村の祠に納めるまでほどかない約束
- 師匠の目的: 卵を約束どおり引き渡して、村どうしの争いを避けたい
- 師匠の秘密: 早く割れはじめた卵を扱うのは初めて
- 見習いの目的: 生まれてくる竜を、自分の手で育てたい
- 見習いの秘密: ゆうべ、卵を温める火をしばらく絶やしてしまった
- 使いの目的: 卵が無事かどうかを、村に正しく伝えたい
- 使いの秘密: 自分の村は、この卵を守り神として祀らずに売ると決めている
鏡越しの注文(コメディ)
- 場所: 予約がぎっしり詰まった土曜の美容院
- 関係: 店長の美容師、アシスタント、初めて来た客
- 状況: 客が見せた写真の髪型が、店の誰も客に切ったことのない形だった
- 制約: 客は鏡の前の椅子に座ったまま。3人とも、鏡越しにしか目を合わせない(演じる人は客席を鏡に見立てる)
- 客の目的: 写真どおりにしてほしい
- 客の秘密: 写真は雑誌の切り抜きで、写っている人が誰なのか知らない
- 店長の目的: 次の予約までの30分で終わらせたい
- 店長の秘密: 先月、閉店後にウィッグでこの髪型を練習したが、客に切れる自信はない
- アシスタントの目的: 今日こそ、はさみを持たせてもらいたい
- アシスタントの秘密: 先月、閉店後に店長がウィッグでこの髪型を練習していたのを見た
休憩所で10年ぶりに(シリアス)
- 場所: 夜行バスの休憩で止まったサービスエリアのベンチ。発車まで15分
- 関係: 高校の部活の同期3人。10年ぶりに顔を合わせた
- 状況: 部活の顧問だった先生の葬儀へ向かう途中
- 制約: 「最後の大会」とは誰も口にしない。卒業式の日に3人で決めたこと
- A の目的: 当時の最後の大会のことを、今日こそ謝りたい
- A の秘密: 先月、先生から届いた手紙を、まだ開けていない
- B の目的: 昔の話をせずに、明るいままで着きたい
- B の秘密: 先生とは卒業後もずっと連絡を取っていた
- C の目的: 2人を仲直りさせたい
- C の秘密: 先生が A に宛てた手紙の中身を、先生の家族から聞いている
4人で演じるお題(4本)
4人が同時に話すと、何も聞こえなくなります。どのお題も4番目の役に「自分からは決めない」のような受け身の目的を持たせ、聞く側に回るようにしました。話がこじれたとき、知っていることを出すかどうかで場面を動かせる役で、アプリの4番目の役と同じ働きをします。
公演中止の会議(シリアス)
- 場所: 小さな劇団の稽古場。本番の2週間前
- 関係: 主宰、主演の俳優、制作担当、いちばん若い団員
- 状況: 今朝、制作が「劇場から、設備の故障で1か月後の日程に変えてほしいと連絡が来た」と全員に伝えた
- 制約: 劇場には、今日の17時までに返事をする約束
- 主宰の目的: 日程を変えてでも公演を打ちたい
- 主宰の秘密: 劇団の貯金は、今回の公演でほぼ使い切っている
- 主演の目的: 予定どおりの日程でなければ降りると伝えたい
- 主演の秘密: 変更後の日程には、別の舞台の仕事が入っている
- 制作の目的: 中止にして、これ以上の損を出さないようにしたい
- 制作の秘密: 劇場からの連絡を、3日前から知っていた
- 若い団員の目的: 誰の味方もせずに、決まったことに従いたい
- 若い団員の秘密: 3日前に劇場からの電話を受けて制作に伝え、ほかの人には言うなと口止めされた
段ボールが1つ多い(コメディ)
- 場所: 引っ越し当日の朝。空になった居間
- 関係: 父、母、高校生の子ども、手伝いに来た祖母
- 状況: 運び出す段ボールを数えたら、リストより1つ多い
- 制約: 業者が来るまで残り10分
- 父の目的: 業者が来るまでに、中身を確かめずに積み終えたい
- 父の秘密: 多い1箱は、自分が隠しておいた古い趣味の道具
- 母の目的: リストどおりに数を合わせたい
- 母の秘密: 新しい家の鍵を、どこにしまったか思い出せない
- 子どもの目的: 転校せずに今の高校へ通い続けたいと、今日のうちに切り出したい
- 子どもの秘密: ゆうべ、母がラベルのない箱に何かを入れるのを見た
- 祖母の目的: 家族それぞれの話を聞いてから、この家での最後の昼ごはんにしたい
- 祖母の秘密: さっき業者からの電話に出て、頼めば到着を15分遅らせられると聞いた
- 種明かし: 母はゆうべ、ふたの開いていたラベルのない箱に、新しい家の鍵を入れた。その箱が、父の隠しておいた1箱だった
- 振り返りの問い: 残り10分のあいだ、誰の話が後回しにされたか
日常の場面にするなら、父の秘密を「多い1箱は、子どもが小さいころの工作をとっておいたもの」に替えます。
定員3人の救命ボート(ファンタジー)
- 場所: 嵐で落ちかけた飛空船の、救命ボートの乗り口。この世界の船は、船底の浮き石の力で空を飛んでいる
- 関係: 船長、船倉に隠れていた密航者、乗客、機関士
- 状況: ボートの定員は3人。4人がそろってしまった
- 制約: ボートの留め綱は、あと5分で切れる
- 船長の目的: 規則どおり、乗客を先に乗せたい
- 船長の秘密: 船が嵐に入ったのは、自分の判断ミス
- 密航者の目的: 名前を知られないまま、次の港で降りたい
- 密航者の秘密: 船の浮き石と同じ石を、荷物に1つ持っている
- 乗客の目的: とにかく自分が助かりたい
- 乗客の秘密: 船の会社の調査員で、この船の整備の記録を調べるために乗っている
- 機関士の目的: 乗る順番には口を出さず、最後に乗りたい
- 機関士の秘密: 浮き石が割れていることに、嵐の前から気づいていた
控室の指輪(ミステリー)
- 場所: 結婚式場の新郎控室。式の始まる30分前
- 関係: 新郎、新婦の妹、新郎の友人代表、式場のスタッフ
- 状況: 指輪の箱を開けたら、中が空だった
- 制約: 支度の人の出入りが多く、控室のドアは開けたまま。廊下を新婦側の家族が通る
- 新郎の目的: 新婦に知られる前に指輪を取り戻したい
- 新郎の秘密: 指輪のサイズが合わず昨日店に戻した。今朝、友人代表から「受け取って箱に入れ、スタッフに預けた」と連絡があった
- 妹の目的: 姉の式を何事もなく始めさせたい
- 妹の秘密: 姉から、新郎の様子をこっそり見てくるよう頼まれている
- 友人代表の目的: スピーチの原稿を最後まで覚えたい
- 友人代表の秘密: 店で「指輪は今朝、式場に届けた」と言われ、空の箱をそのままスタッフに預けた。新郎には「受け取って箱に入れた」と返事した
- スタッフの目的: 新郎に言われたとおりに動き、自分からは何も決めたくない
- スタッフの秘密: 友人代表から箱を預かったとき、中を確かめていない
- 種明かし: 店が届けた指輪の包みは、式場の受付で新婦側の荷物と思われ、新婦の控室に置かれていた
お題の作り方:1,000本の組み方から
場所・関係・状況・制約は、演じる人と観ている人が同じ前提に立つための情報です。ここがぼやけていると、最初の1分が「ここはどこで、私たちは誰か」の確認に消えます。目的は「この場面のあいだに手に入れたいもの」、秘密は「相手に知られたくないこと」。コインランドリーのお題なら、A も B も自分の洗濯物を先に乾かしたいので、それだけで乾燥機の押し引きです。B が来週引っ越すことを隠していれば、「また今度」と言われたときの返事が少し遅れます。
自分で作るときは、この順に決めます。下の小見出しは、この順番の理由と、アプリの1,000本がどう書いてあるかです。
- 取り合う物か、決めなければならないことを1つ(状況)
- それが起きる場所と、人物どうしの関係。締め切りの時刻は、できれば場所に入れる
- 1・2番目の役に、その状況でぶつかる目的
- 相手の目的に触れる秘密
- 3人・4人なら、3人目と4人目に「決めるための材料」を1つずつ
- 制約。場面の中心にある言葉を禁じるか、話す手順や動作を縛る。物語の中で理由がつくもの
- (任意)種明かし。誰が知っているかを決めてから書く
まず2人の対立を決め、3人目からは判断の材料を足す
アプリのお題は、どれも役が4つあります。2人で遊ぶなら1・2番目の役を、3人なら1〜3番目を使うので、同じお題が2人のときにも回らなければいけません。1本ごとに付いている点検のメモ(画面には出さない)の1つ目は、1・2番目の2役だけで対立と決着が成り立つことを書く欄です。1,000本のうち963本は、この欄に「〜と〜だけで」「2人で」のように、2人に限った書き方で対立と決着を書いています。
3人目と4人目の役は、対立を決めるための材料(記録・規則・ほかの人の事情・締め切りを動かせる権限など)を持っていることが多くあります。50本を選んで役の秘密を読むと、4番目の役は50枚のうち28枚がこの「場を動かす情報」で、1・2番目では8枚と12枚でした。1,000本の役の紙(4,000枚)では、締め切りを遅らせられる、または時間に余裕があると本人が知っている秘密が20枚ほどあり、そのうち17枚が4番目の役です。施錠の担当の警備員なら「実は数分の融通をきかせられる裁量を持っているが、自分からは言い出さない」。図書館のお題を調べるアプリのテストにも、「図書館テーマは追加役が対立を即時解決せず判断材料を変える」という名前のものがあります。
答えそのもの(犯人は誰か、どちらが正しいか)を最初から1人に持たせると、その人が口を開いた時点で場面が閉じます。この記事の「公演中止の会議」の若い団員も、知っているのは「3日前に電話を受けた」ことだけで、どうするかは決めていません。「控室の指輪」の友人代表が知っているのも、指輪が式場に届いたことまでです。
時間の縛りを場所の行に入れると、制約の行が空く
アプリでは、872本が場所の文に「〇分」を入れています。「開店20分前のパン屋」「不動産業者の到着まで20分、三代続いた乾物屋の帳場」のような書き方です。制約の文に「〇分」があるのは106本だけでした(「〜までに」のように分を書かない締め切りも含めると、表の282本)。時間を場所に入れておくと、制約の行を言葉や手順の縛りに使えます。この記事の「法事の翌朝の台所」では新幹線までの1時間を場所に入れ、制約を「売る」「お金」と言わないことにしました。締め切りそのものが争いの中心になるお題(「段ボールが1つ多い」「定員3人の救命ボート」など)は、制約の行に置いたままでかまいません。
お題の中の時間は中央値で20分ですが、これは人物を急がせる設定で、場面の終わりではありません。終わりは稽古のタイマーで決めます(「残り20分」のお題を3分で区切ってかまいません)。
制約は、場面の中心にある言葉を禁じる
「継ぐ」を禁じたお題は、店や本家を継ぐかどうかを決める場面です。「弁償」なら、傷や壊れた物の負担を決める場面。アプリの制約でいちばん多い型は、こうした言葉の縛りでした。「〇〇という言葉を使わない」の形が314本あり、禁じる言葉は約300種類。多いのは「継ぐ」「間違い」「引退」「盗んだ」「無理」「仕方ない」「もったいない」などです。「認知症」を禁じる4本は、親の運転免許や施設、介護の記録など、介護にかかわる場面でした。ほかに「『お金』『遺産』という言葉を直接使わず、遠回しに話す」というものも。争いの中心にある言葉が言えないので、人物は物や昔のことに置き換えて話すことになります。
禁じる理由は、人物の側に置きます。「休憩所で10年ぶりに」の「最後の大会」は、3人が卒業式の日に決めたこと。「法事の翌朝」は、隣の仏間の叔母が、家の話になると泣き出すから。「『はい』しか言ってはいけない」のような、理由のない縛りは、言葉の表現の練習には使えても、場面の練習には向きません。
ジャンルで多い型も違います。ミステリーは200本のうち76本に「見た事実」「聞いた話」「推測」を言い分ける決まりがあり、「返却ポストの1冊」の司書の制約もこの型です。シリアスは200本のうち56本が「〜しながら話す」で、鍵や書類を1つずつ手渡しながら、道具を片づけながら、といった動作を伴わせています(表の「体の縛り」67本は、触らない・離れない・小声も含めた数)。
秘密は、自分の失敗か、場を動かす情報にする
秘密を4つの型で考えます。「自分の失敗・見落とし」は、伝え忘れた、確かめずに貼り直した、こっそり味見した、のような自分のしたこと(しなかったこと)。「場を動かす情報」は、記録や規則、ほかの人の事情、締め切りを延ばせる権限を知っていること。「自分の身の上」は体調・予定・過去の経験。「本心」は、本当は残りたい、断られるのが怖い、のような気持ちです。
アプリの50本・200枚を読んで分けると、失敗・見落としが72枚、場を動かす情報が67枚でした。この2つは、相手の目的に触れたときに「出すか、隠すか」を選べます。「吹雪の山小屋」の管理人の「予備の部品を貸してしまった」は失敗、登山客2の金属片は情報です。ミステリーは失敗・見落としが40枚のうち25枚あり、何人かの小さな見落としが重なって事件に見える組み方が多くありました。
種明かしは、誰が知っているかを決めて書く
「吹雪の山小屋」の種明かしは、部品を棚に置き忘れたことです。管理人は戻したつもりでいて、登山客2は金属片が部品かどうかわからない。3人の誰も、本当のことを全部は知りません。こういうお題では、実演中に答えが出ないまま終わることがあります。
アプリの50本で、種明かしの中身が誰の役の紙に「本人が知っていること・したこと」として書いてあるかを読むと、2人で演じたときに種明かしを知る人が場にいるのは50本のうち33本でした。3人で41本、4人で46本。4本は、4人そろっても誰の紙にも書いてありません。アプリは、種明かしを実演中に誰にも見せず、演じ終えてからの振り返りで全員に出します。
自分で書くなら、種明かしの行は進行役だけが持ち、振り返りの問いのあとに読みます。「結婚30年の記念写真」のように場にいる人の秘密の続きにすると、明かしたときに演じた人が笑える形です。「段ボールが1つ多い」のように2人の秘密をつなぐと、観ていた人が「だから鍵が見つからなかったのか」とさかのぼれます。
本当のことを、誰か1人の悪意にしない
アプリの種明かしで、盗み・嘘・わざと・犯人のような言葉を含むのは21本でした。そのうち12本は「盗難ではなく」「誰も故意に取り違えたわけではない」のように悪意を打ち消す文で、誰かの悪意や不正が本当に真相なのは、景品のすり替えや経費の偽りなど4本です。取り違え・思い込み・行き違いの言葉を含む種明かしは197本ありました。
点検のメモの4つ目(演じるときの配慮)には、決めつけない・責めないことを書いたものが202本ありました。種明かしを読んだとき、演じた誰か1人が責められる形になると、振り返りが犯人探しになります。病気やけが、実在の人や団体を思わせる設定は、演じる人によってはつらいので、使うなら始める前にひと言断ります。
書く量:全員に見せる4行は100字前後、役の紙は40字前後
アプリのお題は、全員に見せる4項目を合わせると中央値で約210字、役の紙(目的と秘密)は66字です。この記事の14本は、ホワイトボードや紙に書き写す前提で、4行を中央値約104字(68〜116字)、役の紙を中央値42字にしました。足りないところは、演じる人が場面の中で埋めます。
お題のジャンルを変えるには(日常・コメディ・シリアス・ミステリー・ファンタジー)
同じ場所と関係でも、目的と秘密を替えるとジャンルが変わります。「コンビニの夜勤の店員と、深夜に来た客」で考えてみます。
- 日常: 客の目的は「温めた弁当を早く受け取りたい」、店員の秘密は「今日が最後の勤務」。小さなすれ違いと、少しだけ心が動くところまで。
- コメディ: 客の目的は「レジの横の、なぜか1つだけある商品を買いたい」、店員の秘密は「その商品は自分が置き忘れた私物」。小さな物に大げさにこだわるほど、笑いに寄ります。
- シリアス: 客の目的は「店員に、ある人の消息を聞きたい」、店員の秘密は「その人を知っている」。黙る時間が長くてかまいません。
- ミステリー: 店員の目的は「この客が、防犯カメラに映っていた人物かどうか確かめたい」。見せる情報を減らし、観る側にも推理させる形。制約に「発言の前に、見たことか、聞いたことか、推測かを言う」を足すと、証拠のない決めつけが出にくくなります。
- ファンタジー: 「客は一晩に一度しか人の姿でいられない」のような世界の決まりを1つだけ足します。
アプリの状況の文は、中央値で日常が52字、ファンタジーが96字でした。ファンタジーは世界の決まりを説明する分だけ長くなるので、決まりは1つにとどめます。2つ以上にすると、説明で時間がなくなります。
回しにくいお題の5つの形と直し方
演劇教育者ヴァイオラ・スポーリン(Viola Spolin)のシアターゲームには、どのゲームにも「focus(焦点)」があります。参加者がグループで解く問題のことで、スポーリンの公式サイトがそう説明しています。お題でいえば、「この場面で何が問題なのか」が全員に見えているかどうか。下の5つは、どれもそれが見えなくなる形です。
状況が感情だけで書かれている
「仲の悪い2人が言い争う」は、始めても口げんかを演じるだけで終わります。何をめぐって争うのかが決まっていないから。「乾燥機が1台だけ空いた」のように、取り合う物や決めなければならないことを1つ置くと、言い争いが場面になります。
目的が同じ方向を向いている
コインランドリーのお題で、B の目的が「A と話したい」だけだったとします。A は早く乾かしたいし、B は乾燥機を譲ってもかまわない。2人の向きがそろってしまい、B が順番を渡して話しかけたところで場面が終わります。B にも「自分の洗濯物を先に乾かしたい」を持たせたので、譲らずに話を引き延ばせます。
秘密が場面とつながっていない
「実は宇宙人」「実は宝くじが当たった」のような秘密は、明かした瞬間に場面が止まりがちです。法事の翌朝のお題で、弟の「この家に住むつもりでいる」は、姉が実家を売る話をまとめたいのと真正面からぶつかります。
結末や生い立ちまで書いてある
「最後に仲直りする」と書くと、演じる人はそこへ向かうことしか考えなくなります。生い立ちや性格を何行も書けば、覚えるのに精一杯。1役につき目的1つ、秘密1つにとどめ、終わりはタイマーか、場所の行に入れた時刻で区切ります。
制約が場面を壊す
制約に物語の中の理由がないと、演じる人は場面より縛りを守ることに気を取られます。時間(あと5分で綱が切れる)、場所(寒くて食堂から出られない)、動き(座ったまま、ドアを開けたまま)、言葉(叔母が泣き出すので「売る」と言わない)のように、理由ごと書きます。
稽古での出し方と回し方
全員に見せる情報と、本人だけの情報を分けて渡す
場所・関係・状況・制約は、ホワイトボードに書くか声に出して、全員に。役名は全員に知らせ、目的と秘密だけを役ごとの小さな紙に書いて本人に渡し、観る側には伏せておきます。種明かしと振り返りの問いの行は、進行役の手元に置いておきます。
準備は1分まで。1回は3分から、4人は5分から
紙を渡したら、長くても1分で始めます。打ち合わせの時間を取ると、筋を先に決めてしまいやすいからです。4人のお題は秘密が4つあります。3分だと誰の秘密にも触れないうちに終わりやすく、とくに判断の材料を持つ4番目の役は、口を開く前に時間が来てしまいがちです。物語を最後まで運ぶ練習なら10〜15分。合う長さはグループによって違うので、最初の数回で合わせてください。止めるときの合図(手を叩く、など)は始める前に決めておきます。
稽古1回の進め方と練習メニューは、戯曲図書館の「エチュードのやり方(演劇)完全ガイド」にまとめています。
5人以上いるとき
2〜4人の組に分けて順番に演じ、残りの人は観る側に回ります。その人たちには「誰の秘密に、どこで気づいたか」を考えながら観てもらい、振り返りの最初に聞きます。
同じお題を使い回す
2回目からは「さっきと違う最初の一言から始める」とだけ決めておきます。2人で回したお題に3人目を足すなら、締め切りを動かせることを知っている役にします(「段ボールが1つ多い」の祖母と同じ形)。2人の対立はそのままで、判断の材料だけが変わります。「返却ポストの1冊」なら、閉館を10分だけ遅らせられることを知っている館長、のように。
人物どうしの上下を入れ替えるのもよい方法です。「夜明けに閉じる橋」のお題で番人がへりくだって話すと、旅人の同じ「通してくれ」が、頼みではなく命令に聞こえます。この上下(ステータス)は、キース・ジョンストン(Keith Johnstone)が『Impro: Improvisation and the Theatre』(1979年)で「Status」として扱っています。
振り返りで聞くこと
まず観ていた人に、次に演じた人に聞き、秘密の答え合わせは最後に。秘密を先に明かすと、観ていた人の見方がそれに引っぱられます。
アプリのお題には1本ごとに専用の問いが3つあり、多い型が2つあります。1つは、場面が動いたところを聞く問い。3,000問のうち533問が「どの瞬間に」「どこで」「きっかけ」「誰の一言」のような言葉を使っています。「吹雪の山小屋」でいえば、「部品探しが誰かを疑う話に変わったとしたら、誰のどの一言からか」。もう1つは、そのお題の制約を名指しする問いで、約半分のお題(511本)では、3つの問いのどれかが制約と同じ言葉を使っています。14本のうち「法事の翌朝」「吹雪の山小屋」「段ボールが1つ多い」に付けた問いが、この型です。
どのお題でも使える問いは、次の5つです。自分のお題では、ここに制約を名指しした問いを1つ足します。
- 場面が動いたのは、誰の、どの一言(動き)からだったか
- それぞれの人物は、目的にどこまで近づけたか。近づけなかったのは何に止められたからか
- 誰かの秘密に、観ていた人が気づいたのはどの瞬間か
- 制約は、場面のどこで効いたか。効かなかったなら、なぜか
- もう一度やるなら、最初の一言をどう変えるか
秘密の答え合わせで演じた人に聞くのは、「秘密があったことで、どの台詞やしぐさが変わったか」。「隠そうとして声が小さくなった」「目をそらした」のような答えが出たら、次に演じるときは、その動きを最初から入れてみます。種明かしの行があるお題は、そのあとで読み、「知っていたら、どこで違う動きをしたか」を聞きます。
1,000本の集計の詳細
1本の項目と字数
| 項目 | 誰に見せるか | 字数の中央値 |
|---|---|---|
| 場所 | 全員 | 29字 |
| 関係 | 全員 | 47字 |
| 状況 | 全員 | 81字 |
| 制約 | 全員 | 46字 |
| 役(4つ。役名・目的・秘密) | 引いた本人だけ | 目的27字、秘密38字(1枚で66字) |
| 種明かし(場面の本当のこと) | 演じ終えてから全員 | 54字 |
| 振り返りの問い(3つ) | 演じ終えてから全員 | 1問34字 |
ジャンルは日常・コメディ・シリアス・ミステリー・ファンタジーが200本ずつ。状況の文は1文が452本、2文が400本、3文以上が148本です。
場面の分類
データに付いている場面の分類で数えました。ミステリーとファンタジーは専用の分類が中心です。
| 場面の分類 | 日常 | コメディ | シリアス | ミステリー | ファンタジー | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 家庭 | 46 | 48 | 44 | 0 | 0 | 138 |
| 店 | 38 | 38 | 29 | 6 | 0 | 111 |
| 職場 | 31 | 37 | 41 | 0 | 0 | 109 |
| 学校 | 36 | 33 | 29 | 1 | 0 | 99 |
| 旅先・移動 | 18 | 19 | 18 | 1 | 0 | 56 |
| 病院 | 21 | 9 | 19 | 1 | 0 | 50 |
| 駅 | 7 | 6 | 7 | 0 | 0 | 20 |
| 劇場・舞台 | 2 | 6 | 4 | 0 | 0 | 12 |
| ミステリー用 | 1 | 2 | 6 | 191 | 0 | 200 |
| ファンタジー用 | 0 | 2 | 3 | 0 | 200 | 205 |
劇場が12本と少ないのは、作る途中で、最初の137本のうち劇場や舞台裏に寄っていた25本を別の場所に書き直し、家庭・職場・学校・商店・病院・交通機関などの場面を足していったからです。この記事の14本でも、劇場の中の場面は「公演中止の会議」の稽古場だけです。
場所の「〇分」
| ジャンル | 場所に「〇分」がある | 中央値 | 15分以下 | 16〜19分 | 20分以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日常 | 153本 | 15分 | 92本 | 0本 | 61本 |
| コメディ | 168本 | 15分 | 114本 | 2本 | 52本 |
| シリアス | 172本 | 20分 | 54本 | 3本 | 115本 |
| ミステリー | 190本 | 約18分 | 94本 | 3本 | 93本 |
| ファンタジー | 189本 | 25分 | 25本 | 2本 | 162本 |
| 計 | 872本 | 20分 | 379本 | 10本 | 483本 |
1本に2つ以上の「〇分」があるときは、最初の値で数えました。5分以下は38本です。
制約の型
| 制約の型 | 日常 | コメディ | シリアス | ミステリー | ファンタジー | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 言葉の縛り(「〇〇」と言わない、呼び方、言い方) | 137 | 68 | 109 | 23 | 50 | 387 |
| 話す手順(見た・聞いた・推測を言い分ける、まず〜してから) | 6 | 19 | 28 | 92 | 69 | 214 |
| 締め切り(〜までに、鐘が鳴るまで) | 23 | 55 | 65 | 70 | 69 | 282 |
| 体の縛り(〜しながら話す、触らない、離れない、小声) | 21 | 23 | 67 | 31 | 17 | 159 |
| どれにも当たらない | 31 | 49 | 24 | 24 | 45 | 173 |
日常は、時間を場所の行に任せている分、制約の行は言葉の縛りに寄っています。
役の秘密の型(50本・200枚)
| ジャンル(各40枚) | 自分の失敗・見落とし | 場を動かす情報 | 自分の身の上 | 本心 |
|---|---|---|---|---|
| 日常 | 12 | 14 | 9 | 5 |
| コメディ | 18 | 9 | 10 | 3 |
| シリアス | 5 | 17 | 6 | 12 |
| ミステリー | 25 | 11 | 3 | 1 |
| ファンタジー | 12 | 16 | 8 | 4 |
| 計(200枚) | 72 | 67 | 36 | 25 |
| 役の順番(各50枚) | 自分の失敗・見落とし | 場を動かす情報 | 自分の身の上 | 本心 |
|---|---|---|---|---|
| 1番目 | 19 | 8 | 14 | 9 |
| 2番目 | 21 | 12 | 8 | 9 |
| 3番目 | 20 | 19 | 8 | 3 |
| 4番目 | 12 | 28 | 6 | 4 |
種明かしを知る人が場にいるか(50本)
| 演じる人数 | 種明かしを知る人が場にいる |
|---|---|
| 2人(1・2番目の役) | 33本 |
| 3人(1〜3番目) | 41本 |
| 4人(全員) | 46本 |
集計の方法と、この数字で言えないこと
数えたのは、アプリのソースのお題データ(バージョン1.0.3の時点)の1,000本です。ジャンル・場面の分類・字数・場所の「〇分」・点検のメモは、データを書き出して全数を機械的に数えました。字数は、全角・半角を問わず1字と数えています。
制約の型、禁じる言葉、種明かしの言葉、振り返りの問いの型は、キーワードで拾ったものです。問いが制約と同じ言葉を使っているかは、漢字やカタカナの2文字の並びが2つ以上一致するかで見ました。言い換えた文は拾えず、たまたま同じ漢字の並びがあるだけの問いは拾ってしまうので、この数字は多くも少なくも出ます。締め切りを緩められる役と、悪意の言葉を含む種明かしは、キーワードで候補を出したあと、文を読んで数えました。制約の型は1本が2つの型に入ることがあり、足しても1,000になりません。
役の秘密の型と、種明かしを誰が知っているかは、ジャンルごとに10本ずつ無作為に選んだ50本を1枚ずつ読んで分けました。別の読み手による読み直しはしていないので、境目の判断(「こっそりした」を失敗に入れるか、など)は人によって変わりえます。50本で数えた割合なので、1,000本全体の割合とは10ポイントほどずれることがあります。ジャンルごとの40枚の差は、傾向として読んでください。
この集計は、アプリのお題がどう組んであるかを数えたものです。どのお題が稽古でよく回ったかは数えていません。バージョン1.0.3の時点では、アプリに分析の仕組みはなく、どのお題が出たかの記録もないからです。
アプリの版で変わる数字
本文の集計は、バージョン1.0.3(2026年10月)の1,000本のもので、アプリの版が上がっても書き直しません。版で変わる項目は、右の列だけを確認のたびに直します。最新の内容は App Store のアプリのページで確かめてください(URL は末尾の参考に)。
| 項目 | この記事の集計に使った版(1.0.3、2026年10月) | 最新の確認(2026年10月、バージョン1.0.3) |
|---|---|---|
| 収録数 | 5ジャンル×200本、計1,000本 | 同じ |
| 人数 | 2〜4人(どのお題も4役。2人なら1・2番目、3人なら1〜3番目の役を使う) | 同じ |
| タイマーの選択肢 | 3分・5分・10分・15分。一時停止あり | 同じ |
| 振り返りの画面 | 問い3つと種明かし(種明かしは1.0.3で加えた) | 同じ |
| 広告 | 実演の画面と振り返りの画面に1枠ずつ。役を引く画面には出さない | 同じ |
| 料金と登録 | アプリ内課金なし、登録不要 | 同じ |
| 対応する端末 | iPhone・iPad | 同じ |
| どのお題が出たかの記録 | 取っていない(分析の仕組みなし) | 同じ |
お題を出すアプリ「エチュードメーカー」(2026年10月時点)
この記事で数えた1,000本は、エチュードメーカーというアプリのお題です。人数・ジャンル・時間を選ぶと1本のお題が出ます。紙を用意できない日や、進行役も演じる側に入る日のためのアプリです。
役ごとに目的と秘密を分けたのは、人物どうしが知っていることに差があると、その差を埋めたり守ったりするやりとりが、筋を決めなくても生まれるからです。アプリの説明文には、これを「情報の非対称性から即興の対話が自然に生まれるよう」と書きました。役は端末を回して1人ずつ引きます。初めて役を引く画面では「表示される目的と秘密は、押した本人だけに見せる内容です」、役を見た人には「役を覚えたら、画面を伏せて次の人へ渡してください」と出します。2人か3人で遊ぶときは、関係と状況の文が4人を想定しているので、引かれなかった人物はその場にいないものとして進めるよう、断り書きが出ます。
実演中の画面には、タイマーと、全員に見せてよい条件(関係・場所・状況・制約)が出ます。見出しはもともと場所と状況をつないだ文でしたが、100〜290字の太字の段落になってしまったので、場所だけにしました。種明かしの位置は、振り返りの画面の3つの問いのあと。お題を共有する機能で送る文は場所・状況・関係・制約だけで、種明かしが入っていないことはアプリのテストで確かめています。「同じお題でもう一度」を選ぶと同じ役の紙が同じ順番で出るので、端末を渡す順番を変えれば役が入れ替わります。
この記事の14本は、バージョン1.0.3には入っていないので、紙に書き写して使ってください。
参考
- Viola Spolin(Spolin 公式サイトの略歴。2026年10月確認): https://www.violaspolin.org/bio
- Keith Johnstone『Impro: Improvisation and the Theatre』Faber and Faber、1979年(ISBN 0571109896)
- 『Impro: Improvisation and the Theatre』の内容紹介(Bloomsbury 版。「Status」の部がある。2026年10月確認): https://www.labyrinthbooks.com/impro-improvisation-and-the-theatre/
- エチュードメーカー(App Store。2026年10月確認): https://apps.apple.com/jp/app/id6794500656